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乳酸菌の正しい摂り方

乳酸菌を正しく摂る

ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌は腸内環境を整えてくれる善玉菌として知られています。健康のために乳酸菌を摂りたいと考えている方が多いのではないでしょうか。
とはいえいくら健康に良くても、ただ乳酸菌を摂れば良いというものではありません。整腸作用など優れた効能が認められている乳酸菌であっても、正しい摂り方をしなければ十分な効果を実感することはできないのです。
体に有用な働きをする乳酸菌の力を最大限に活用するためには、正しく摂って腸の健康に繋げましょう。

自分にあった乳酸菌を選ぶ

種類が違えば効能も違う

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乳酸菌はこれまでに数千種類以上が見つかっています。「どれでも一緒じゃないの?」と考えている方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
種類が違えば効能も違います。乳酸菌が持つ効能は整腸作用だけではありません。何を目的に乳酸菌を摂るのか、例えばお腹の調子を良くしたいのか、免疫力を高めたいのか、アレルギー症状を改善したいのか、目的によって適した乳酸菌が異なるのです。
それぞれの乳酸菌がどんな効能を持つのか調べて、自分に合った乳酸菌を選ぶ必要があります。

例えばこんな選び方がある

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例えばほとんどのヨーグルトに使われているブルガリア菌とサーモフィラス菌は、便秘を改善する効果の優れた乳酸菌です。
悪玉菌を抑制することでお通じの乱れを改善したい方には、生きて大腸まで届くビフィズス菌BB536株が良いでしょう。
免疫力を高めて風邪やインフルエンザを予防したい方には、体内に侵入したウイルスを攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化することで注目されているR-1乳酸菌(OLL1073R-1株)がおすすめです。
花粉症や通年性アレルギー性鼻炎の症状を緩和する効果を期待するなら、L-92株やプラズマ乳酸菌(KW3110株)が良いでしょう。
このようにそれぞれの乳酸菌の効能を見て選ぶことで、自分がいま抱えている体の不調を改善することができます。

摂る菌の数が重要

出来るだけたくさんの菌を摂る必要がある

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乳酸菌の摂り方で最も重要なのは摂る菌の数です。私たちの腸内には100兆個以上の腸内細菌が生息し、お互いの菌が微妙なバランスを保ちながら腸内環境を維持しています。
そこに少数の菌が割って入ったところで腸内フローラを変えることはできないのです。そもそも食品から摂った乳酸菌は腸内に定着することができずに、数時間から数日程度で排出されてしまいます。
腸内にもともと生息している常在菌に勝つことができないためです。ですからしっかりとした効果を実感するためには、出来るだけたくさんの菌を腸に送りこむ必要があります。

どれくらいの乳酸菌を摂れば良いのか

10億個程度の菌では足りない

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では一日にどれくらいの乳酸菌を摂れば良いのでしょうか? 例えばヨーグルトには100mlに10億個の乳酸菌が含まれています。乳および乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)という法律で、1mlあたり1000万個の以上の乳酸菌を含めるように決められているからです。
10億個と聞くと物凄い数のように思えるかもしれませんが。私たちの腸内に100兆個以上の腸内細菌が生息していることを考えると、たいした数ではありません。
この量では腸内フローラはビクともしないでしょう。市販のヨーグルトの中には100gに満たない小さなカップのものもありますが、1日1カップ食べた程度では全く足りないのです。

ヨーグルトなら1日200g以上

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「ヨーグルト不老長寿説」で知られるロシアの微生物学者イリヤ・メチニコフは、1日に300~500g摂ることを推奨しています。
また日本で腸内細菌研究の第一人者である東京大学の光岡知足名誉教授は、1日250~350g摂っているそうです。この二人の専門家が推奨する量は自身の研究に基づいた経験則であり、明確な科学的根拠があるわけではありません。
しかし、十分な効果を実感するためには出来るだけたくさんの菌を摂る必要があることには変わりありません。ヨーグルトなら毎日200g以上は摂りたいところです。毎日は無理という方は、お腹の不調が気になるときに一定期間多めに食べると良いでしょう。

ヨーグルトだけに頼る必要はない

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「とてもこれだけの量のヨーグルトは食べられない」という方は無理して食べる必要はありません。乳酸菌はなにもヨーグルトからしか摂れないわけではありません。
好きでない食べ物を無理して食べ続けるのは苦痛です。ストレスが溜まってかえって腸内環境に悪影響を与えてしまいます。
チーズ、キムチやぬか漬けなどの漬物類、味噌や醤油といった食品にも乳酸菌が含まれています。これらの食品やサプリメントも活用しましょう。

食後に摂る

乳酸菌を摂るタイミングも大切です。多くの乳酸菌は酸に弱い性質があります。ヨーグルトから生きた乳酸菌を摂っても、その多くは胃酸や胆汁酸で死滅してしまいます。
胃液は空腹時にはpH1~2という強酸性になります。乳酸菌の中には酸に強く消化液に耐性を持つ種類もありますが、これほどの強酸性ではさすがに耐えられる菌は僅かです。
とはいえ胃液は一日の中でpHが大きく変わります。食事を摂ると食べ物で胃が満たされるため、pHが上がってアルカリ性に近づきます。
このタイミングなら酸に弱い乳酸菌であっても、比較的多くの菌が胃を通過することができます。生きた乳酸菌を腸に届けたいなら食後に摂りましょう。

出来るだけ毎日摂り続ける

食品から乳酸菌を摂っても腸内に定着できない以上は、常に新しい菌を腸に送り届ける必要があります。腸内フローラが変わるまでには一定の期間が必要です。
ヨーグルトなどを短期間摂って、ちょっとお腹の調子が良くなったからとすぐに摂るのをやめてしまうと、また腸内環境が元の状態に戻ってしまいます。

【ヨーグルトを摂るのを止めると腸内環境が元に戻ることを示す試験結果】

LB81乳酸菌が腸内環境と便秘の改善にどのような影響を与えるのか調べる臨床試験では、摂取を中止することで腸内環境が元の状態に戻ることが分かっています。

38歳~59歳の8名にLB81乳酸菌を含むヨーグルトを毎日500g2週間摂り続けてもらいました。その結果、アンケートで8名全員が便性と排便回数が正常で、体調が良いと回答しました。
さらに腸内に生息する善玉菌のビフィズス菌が増加し、悪玉菌が作り出す腐敗物質であるインドールやスカトール、アンモニアなどの量が減少傾向にあることが確認されました。
ところが食べるのを止めてしまうと、2週間で腐敗物質の濃度が上昇し、腸内環境が食べる前の状態に戻ることが確認されました。

必ずしも生きた乳酸菌にこだわる必要はない

死滅した菌にも効果がある

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巷では「生きた乳酸菌が健康に良い」「生きた乳酸菌を腸に届ける必要がある」という話をよく耳にします。ヨーグルトなどの製造メーカーでもそのように宣伝しています。
多くの人は微生物である乳酸菌は生きた状態で摂るもので、死んだ菌では意味がないと考えがちです。もちろん「生きた乳酸菌が健康に良い」これは間違っていません。
しかし、近年の研究では死滅した乳酸菌にも一定の整腸作用や免疫力を高める作用があることが分かっています。

死滅した菌でも腸内フローラが改善する

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これまでの研究では死滅した菌であっても腸内フローラが改善することが分かっています。

【死菌をマウスに投与した実験結果】
マウスを90匹ごとに三つのグループに分けました。次にそれぞれのグループに1~3のエサを離乳期から死ぬまで与え、腸内フローラを調べました。

1 通常のエサ
2 牛乳を添加したエサ
3 殺菌酸乳(乳酸菌を7日以上培養してから殺菌したもの)を添加したエサ

その結果、3のマウスの腸内フローラを調べたところ善玉菌であるビフィズス菌の数が非常に多く、1と2のマウスの10倍生息していることが確認されました。

死菌を採用するメーカーが増えている

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そもそも乳酸菌の多くは酸に弱いため、生きた状態で摂ってもその多くは胃酸や胆汁酸で死滅してしまいます。
それなら「最初から死滅した菌を配合しても良いのでは」と、近年では製造段階で加熱殺菌処理した死菌を採用するメーカーが増えています。
微生物である乳酸菌はヨーグルトや漬物などの発酵食品の中でも活動しています。そのため発酵が進んで酸味が増したり、乳酸菌が作り出した菌で自らが死滅するのを防ぐために厳しい品質管理が求められます。
しかし、死菌であればそのような厳しい品質管理は不要です。そのため加工食品やサプリメントを中心に死菌の採用が進んでいます。

大量の菌を摂るには死菌のほうが適している

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乳酸菌は菌の生き死によりもたくさんの菌を腸に送り込むことのほうが重要です。そのためには生きた菌よりも死菌のほうが適しています。
死菌は高密度に圧縮できるため、一度に大量の菌を摂ることができるからです。例えば死菌を採用した乳酸菌サプリメントには1回分で1~2兆個もの菌が配合されています。
これだけの菌をヨーグルトから摂ろうとしたら、バケツ一杯分は食べなければいけません。死菌を採用したサプリメントならその量を手軽に摂ることができます。

相性の良い食品と一緒に摂る

乳酸菌と相性の良い食品を一緒に摂ることで相乗効果が期待できます。

納豆

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納豆は稲の藁に生息している納豆菌によって発酵しています。この納豆菌も腸内環境を整える効果があることから善玉菌の一つに分類されることがあります。
さらに納豆菌は乳酸菌と一緒に摂ることで、腸内で乳酸菌の数を10倍に増やす働きがあるとされています。納豆と乳酸菌を含むぬか漬けやキムチを組み合わせると良いでしょう。

オリゴ糖

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乳酸菌やビフィズス菌は糖を分解することで発酵を行い、乳酸や酢酸などの有機酸を生成します。腸内で乳酸菌やビフィズス菌の活性を高めるためには、エサとなる糖を腸に届けたいところです。
とはいえブドウ糖や砂糖は小腸ですぐに分解されてしまうため、善玉菌のエサとして活用することができません。

そこで摂りたいのがオリゴ糖です。糖が3~10個くっついた少糖類であるオリゴ糖は、小腸でほとんど分解されることなく大腸に送られます。そのため大腸でビフィズス菌のエサとなり増殖を促すことができます。
オリゴ糖はバナナやりんごなどの果物、たまねぎ、ゴボウ、キャベツなどの野菜に含まれています。効率的に摂りたい方はオリゴ糖から作られた甘味料を活用しましょう。
ヨーグルトに甘味料をかけて、バナナやりんごなどの果物を加えたり、乳酸菌を含むキムチに刻んだ玉ねぎを加えたりして、乳酸菌とオリゴ糖を一緒に摂りましょう。

食物繊維

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野菜や果物に多く含まれている食物繊維は、糖が300~50万個くっついた多糖類です。小腸でほとんど分解、消化されないため乳酸菌やビフィズス菌のエサとなります。
食物繊維には便の嵩を増して食べ物を動かしながら排出に導くぜん動運動を促す働きがありますから、乳酸菌との相乗効果が期待できます。乳酸菌だけではなく野菜や果物を積極的に摂って腸の健康に繋げましょう。

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