乳酸菌と血糖値の関係性
高血糖とは血糖値をコントロールできない状態
私たちは食事から摂ったブドウ糖をエネルギーにすることで活動しています。ブドウ糖が血液に溶け込んで全身に運ばれることで臓器や筋肉を動かしているのです。
ですから食事を摂ると一時的に血糖値が上がり、食事から時間が経つと下がります。さらに膵臓から分泌されるインスリンによって血糖値を一定に保っています。
ところがブドウ糖を大量に摂ったり、何らかの原因でインスリンの分泌が上手くできなくなると、ブドウ糖がエネルギーとして使われずに血液中に溜まってしまいます。これが高血糖です。
高血糖と腸内細菌の関係
健康を保つために重要な腸内フローラ
私たちの腸内には500種類以上、100兆~1000兆個もの細菌が生息しています。腸内細菌は種類ごとに固まって見えることから腸内フローラと呼ばれています。
この小さな生態系である腸内フローラは体の機能を維持し、健康を保つために重要な働きをしています。例えば腸内環境が悪化すると、腸の機能が低下して便秘や下痢、腹痛などが引き起こされます。
そのほかにも近年の研究では、腸内フローラが糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、動脈硬化などの生活習慣病と密接な関係があることが分かっています。
腸内細菌が血糖値に影響を与えている
アメリカのイリノイ大学が行った研究では、腸内細菌が血糖値に大きな影響を与えていることが分かっています。
研究では高血糖によって糖尿病のリスクが高いとされる45~75歳の男性116名に参加してもらいました。それぞれの被験者を1年間追跡して、血糖値がどのように推移するか調べました。
その後、被験者の糞便から腸内フローラを調べました。すると被験者の中で血糖値が改善傾向にある、または血糖値が常に正常な状態にあった方の腸内フローラには細菌の生息数が多く、善玉菌が多いことが確認されました。
逆に血糖値が悪化傾向にある、または血糖値が常に高い状態にある方は、腸内の善玉菌の数が少なく、悪玉菌が多いことが確認されました。
2型糖尿病患者は腸内フローラのバランスが乱れている
順天堂大学の研究チームは、後天的な糖尿病である2型糖尿病患者は、腸内フローラのバランスが乱れやすいことを発表しました。
この研究では善玉菌が減少して悪玉菌が増殖し腸内フローラのバランスが乱れると、腸内細菌が血液中に流出してしまい、体内で炎症を起こす可能性を指摘しています。
炎症が発生すると膵臓からインスリンが分泌されても効きにくくなります。その結果として血液に溶け込んだブドウ糖の量をコントロールすることができなくなり、高血糖になってしまいます。
逆に言えば腸内環境を改善することで炎症が抑制されて、インスリンが効きにくい状態が改善できる可能性があることが指摘されています。高血糖を改善するためにはまず腸内フローラのバランスを整える必要があります。
血糖値の上昇を抑える乳酸菌
血糖値対策には乳酸菌が良い
このように腸内フローラは血糖値に大きな影響を与えています。そこで注目されているのが乳酸菌が持つ優れた整腸作用です。
ヨーグルトなどから摂ることができる乳酸菌は、腸内に生息している善玉菌を活性化して増殖を促し、悪玉菌を抑制する働きがあります。
それによって腸内フローラのバランスが整えられ、高血糖や糖尿病の予防に繋がると考えられています。また一部の乳酸菌には血糖値の上昇を抑制する働きが認められています。
クレモリスFC株の働き
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クレモリスFC株は1986年に家森幸男博士が東ヨーロッパのジョージアから持ち帰った乳酸菌です。カスピ海ヨーグルトを作る菌として知られています。
EPSと呼ばれる多糖の粘り成分を生成するのが特徴です。この粘り成分によって菌体が守られることで胃液などの消化液で分解されることなく、生きて腸まで届くと考えられています。
クレモリスFC株はこれまでの研究でさまざまな健康効果が認められています。その一つが血糖値の上昇を抑える効果で、クレモリスFC株が生成するEPSが関わっていることが分かっています。【クレモリスFC株の試験結果】
健康な成人男女7名を対象に、ブドウ糖50gを含む水溶液に市販の牛乳またはクレモリスFC株の牛乳発酵物100gを混入したものを、交互に摂ってもらいました。摂取前と摂取後30、60、90、120分後には採血を行って、血糖値を測定しました。
その結果、クレモリスFC株を含む牛乳発酵物を摂ると牛乳を摂ったときと比べて、血糖値の上昇が抑えられることが確認されました。
ヨーグルトがおすすめ
ヨーグルトが血糖値の上昇を抑える
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食後の血糖値の上昇が気になる方におすすめしたいのがヨーグルトの摂取です。ヨーグルトに含まれている乳酸菌やビフィズス菌によって腸内環境を改善する効果が期待できます。
さらにヨーグルトには血糖値の上昇を穏やかにする作用があります。ヨーグルトの原料である牛乳も、血糖値の上昇を穏やかにすることで知られていますが、ヨーグルトは牛乳よりも優れた効果が期待されています。
健康な成人に牛乳とヨーグルトと交互に摂ってもらったところ、牛乳よりもヨーグルトのほうが血糖値の上昇が抑えられたという研究結果があります。
これはヨーグルトが作られる過程で乳酸発酵によって作られる粘り成分が関係しています。この粘り成分は小腸で全く分解、消化されないため、食物繊維のように糖の吸収を穏やかにしてくれます。その結果として血糖値の上昇が抑えられるとされています。
摂るなら無糖ヨーグルト
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市販のヨーグルトの中には砂糖が含まれているものがあります。いくらヨーグルトが血糖値の上昇を抑えるといっても、ヨーグルトに砂糖が多く含まれていれば意味がありません。
砂糖は単糖類であるブドウ糖と果糖がくっついた二糖類です。小腸で素早く分解されて吸収されるため、血糖値が上昇しやすく体に負担をかけてしまいます。血糖値の上昇を抑えたい方は無糖のヨーグルトを摂りましょう。
ヨーグルトにオリゴ糖を加えると良い
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甘くないヨーグルトでは物足りないという方は、砂糖ではなくオリゴ糖を加えてください。オリゴ糖は糖が3~10個くっついた小糖類です。小腸でほとんど分解、吸収されることなく大腸に送られるため、血糖値が上がる心配がなく体に優しい糖類です。
さらにオリゴ糖は大腸でビフィズス菌のエサとなり増殖を促すことができます。オリゴ糖はりんごやバナナなどの果物に含まれています。
これらの果物とヨーグルトは相性が良い組み合わせですが、果物には血糖値の上昇を引き起こす果糖やブドウ糖、ショ糖(砂糖)も多く含まれているため、摂り過ぎは禁物です。
そこでおすすめなのが市販のオリゴ糖甘味料です。果物よりも多くのオリゴ糖が配合されていて、砂糖不使用なので体に優しいのがメリットです。
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