ヨーグルトを加熱したら乳酸菌は死滅する?
冷やして食べることが多いヨーグルトですが最近ではホットヨーグルトも人気があります。
そのほかにも煮込み料理やスープに加えたり、パイやクッキーの生地に混ぜたりと、さまざまな料理に使えるヨーグルトは魅力的です。
そこで気になるのがヨーグルトを加熱すると乳酸菌はどうなるのかという問題です。
乳酸菌は熱に弱い
ヨーグルトに含まれる乳酸菌はたんぱく質でできています。
このたんぱく質は高温になると分子構造が変化し性質が変性してしまいます。フライパンで肉や卵を焼くと固さや色が変わりますが、これは熱によってたんぱく質が変性しているためです。
栄養としてたんぱく質を摂るなら、加熱したほうが消化吸収しやすくなります。ところがヨーグルトの場合は、熱を加えてたんぱく質が変性してしまうと乳酸菌が死滅してしまうのです。
乳酸菌が死滅する温度
ではどれくらいの温度で乳酸菌は死滅してしまうのでしょうか?
一般的な乳酸菌は40℃を超えると死滅していき、60℃では約30分、100℃ではほんの数秒で死滅します。
このことからホットヨーグルトは温め過ぎに注意する、料理として使う場合は鍋に加えて沸騰させたり、オーブンで加熱する調理は避けたほうが良いということになります。
いろいろな料理の材料として使えるヨーグルトですが、実は加熱調理には向いていないのです。とはいえ温かい料理の仕上げに加える程度なら問題ないので、乳酸菌が死滅しない40℃以下を保つよう気を配りましょう。
ヨーグルトの最適な温度
乳酸菌にとって最適な温度は40℃前後、お風呂の温度より少し熱いくらいです。この温度を保つと最も乳酸菌が繁殖しやすく、発酵しやすくなります。ある有名な企業でもヨーグルトを発酵させるタンクを常に40~45℃に保っています。
乳酸菌も人間と同じように生き物ですから、人間が室温25℃前後を好むように、乳酸菌にも活動するために好ましい環境があるのです。
電子レンジで温める場合は、ヨーグルト100gあたり600Wで30~40秒が目安となります。
とはいっても市販されているヨーグルトのパッケージには「要冷蔵」と書いています。いくら40℃前後が乳酸菌には良いと言っても、この温度にずっと晒していると一気に酸味が増してしまいます。
またヨーグルトの保存は40℃に近づけるために常温が良いと思うかもしれませんが、ヨーグルト自体が腐ってしまう可能性があるので常温保存には向いていません。
加熱したヨーグルトの効果
熱に弱いヨーグルトですが、加熱したヨーグルトには全く効果がないのかと言うとそうではないようです。
加熱したヨーグルトにも整腸作用があると言われています。その理由はまだはっきりとは分かっていませんが、「死んだ乳酸菌が食物繊維と同じような働きをする」「死んだ乳酸菌が善玉菌のエサとなるため」といった説があります。
多くのヨーグルト製品を製造する小岩井乳業も、「加熱調理により乳酸菌が死滅した場合でも、腸内環境をきれいに保つ働きがあると言われております。また、栄養価も変わりません。
と回答しています。
そもそも生きた乳酸菌を摂ってもその多くは胃酸や胆汁で死滅してしまいます。生きた乳酸菌には健康に良い効果がたくさんありますが、
それよりも大切なことは乳酸菌を習慣的に摂り続けること、あなたに合ったヨーグルトの食べ方を探して見てください。
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