乳酸菌でストレス性睡眠障害を改善できる
5人に1人が悩む睡眠障害
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「夜遅いのに眼がさえて眠れない」「疲れているのに眠りにつけない」「寝つきが悪くて困っている」このような睡眠の悩みを抱える方が近年増えています。それはもしかしたら睡眠障害かもしれません。
厚生労働省が2016年に行った「国民健康・栄養調査」によると、1ヶ月間に睡眠で十分に休養が摂れていない人の割合は、19.7%と増加傾向にあり、20~50歳代では2割を超えていることが明らかになりました。
日本人の5人に1人は睡眠障害とも言われています。また、不眠で通院している人の20人に1人は睡眠薬を服用しているとされ、その深刻さが窺えます。
ストレスを原因とする睡眠障害
現代人は常にストレスに晒されている
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日本人の間に不眠症などの睡眠障害が増えている原因として、最も考えられるのがストレスです。多忙な生活を送る現代人は、仕事や人間関係で常に強いストレスに晒されています。
不規則な生活や生活環境、病気などもストレスとして体に負担をかけてしまいます。厚生労働省が2016年に行った「国民生活基礎調査」では、12歳以上の国民の2人に1人が何らかのストレスを感じていることが分かっています。
ストレスは自律神経の乱れを引き起こす
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強いストレスに日常的に晒されることで引き起こされるのが、自律神経の乱れです。自律神経には、緊張や興奮を感じたときに優位になる交感神経と、心身が落ち着いたときに優位になる副交感神経があり、この二つを交互に働かせることで体の正常な機能を保っています。
正常な状態であれば睡眠時に優位になるのは副交感神経です。ところが、強いストレスを感じると夜の遅い時間になっても交感神経が優位になり、アドレナリンやノルアドレナリンといった神経伝達物質が分泌されます。
その結果として、不安や興奮といった感情が高まり、心拍数が速くなり体温と血圧が少しずつ上昇します。これは体をいつでも動かせるように臨戦態勢を取っているためですが、このような状態ではとても眠りにつくことはできません。
この状態が長く続くとさまざまな体調不良や病気に繋がります。その一つが不眠症などの睡眠障害です。
自律神経のバランスを整えて睡眠障害を改善
自律神経のバランスを整える必要がある
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強いストレスによって自律神経のバランスが乱れていると、眠る時間になっても副交感神経が優位にならず、睡眠障害が引き起こされます。
私たちの体は正常な状態であれば、目覚めて間もない朝と1日の疲れを癒す時間である夜に副交感神経が優位になります。一方、交感神経が優位になるのは、仕事や家事で忙しく活動する日中の時間です。
このような自律神経の働きに乱れが生じると、昼になっても副交感神経が優位になったままでだるさや倦怠感を感じたり、夜になっても交感神経が優位になったままで緊張や興奮を感じて、眠りにつくことができなくなってしまいます。
睡眠障害を解消するためには自律神経のバランスを整えて、眠りにつく時間に副交感神経を優位にする必要があります。
腸内環境が自律神経に影響を与える
では、自律神経のバランスを整えるためにはどのようなことが有効なのでしょうか? そこでいま研究が進んでいるのが、腸内環境と脳の働きの関係です。全く関係がないように思えますが、実は腸と脳は自律神経によって繋がっていて、お互いに影響しあっています。これを「脳腸相関」と言います。
脳には中枢神経系があり、腸には腸神経系があります。この両者はそれぞれ独立した神経系であり、別々に働くこともありますが、お互いの働きに影響しあうこともあります。
仕事で強いプレッシャーを感じたときに腹痛や下痢が引き起こされるのは、腸と脳がお互いに情報を交換し、体の働きに影響を与えているためです。
ですから腸内環境が悪化していると脳の働きにも悪影響を与え、自律神経のバランスが乱れてしまいます。逆に腸内環境が良好であれば、脳腸相関によって脳にも良い影響を与えることができ、自律神経のバランスを整えることができます。
乳酸菌を摂って自律神経のバランスを整えよう
自律神経のバランスを整えるため摂りたいのが乳酸菌です。腸が活発に働いて消化が促進されると、副交感神経が優位になります。乳酸菌を摂ることで腸内の善玉菌が活性化されて悪玉菌が抑制されると、腸内環境が整えられて消化を促すことができます。
また、乳酸菌は免疫力を高めてくれます。腸は最大の免疫器官であり、体全体の免疫細胞の約7割が集中しています。腸が持つ免疫系のことを腸管免疫と呼びます。
乳酸菌にはこの腸管免疫を活性化する働きがあり、それによって腸神経系の働きにも良い影響を与えます。
このように乳酸菌によって腸内環境が改善されるだけで、自律神経のバランスを整えることができます。それによって眠りが必要なときに副交感神経が優位になり、睡眠障害の解消に繋がります。
ストレス性の睡眠障害を改善する乳酸菌の種類
SBL88株
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正式名称はラクトバチルス・ブレビス・SBC8803、サッポロビールがビールの品質管理や商品開発を目的に約700株の乳酸菌の中から選び出しました。SBL88株は大麦由来の植物性乳酸菌で、酸に強く胃酸や胆汁酸で死滅することなく生きて腸まで届きます。
これまでの研究で、SBL88株には、ストレス性の睡眠障害を改善する効果があることが分かっています。2012年に発表されたサッポロビールと産業技術総合研究所の共同研究では、マウスにSBL88株を0.5%混ぜた餌を4週間摂取させてから、ストレス負荷を2週間かけて、行動の変化を調べました。
その結果、ストレスによって睡眠障害を引き起こしたマウスは睡眠不足に陥って、活動時間である夜の活動量が低下しました。一方でSBL88株を摂ったマウスは夜の活動量の低下が抑えられることが確認されました。
さらに、この効果はヒト試験でも認められています。試験では睡眠に問題を感じている40~60代の男性14名を対象に、SBL88株と偽薬をそれぞれ10日間ずつ摂ってもらいました。
その結果、SBL88株を摂っていた期間は偽薬を摂っていた期間と比べて、試験後に行ったアンケート調査で「すっきり目覚められた」「日中の眠気が軽減された」と感じた方が多くいることが確認されました。また睡眠時の脳波の測定でも、眠りの深さを示す数値が上昇していることが確認されました。
このような結果から、SBL88株を摂ることで軽度の睡眠障害を改善する効果が期待されています。
C-23ガセリ菌
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正式名称はラクトバチルス・ガセリ・CP2305株、健康な成人から発見されたヒト由来の乳酸菌です。C-23ガセリ菌は脳腸相関に着目してさまざまな研究が行われています。
これまでに行われたヒト試験では、C-23ガセリ菌を摂ることでストレスを軽減して、睡眠の質の改善、不安感の緩和、腹痛の改善といった効果が認められています。
ストレスを感じている12名を対象に行った試験では、C-23ガセリ菌を4週間摂ってもらい、身体的ストレスと精神的なストレスの程度を評価しました。
その結果、C-23ガセリ菌を摂ることでストレスによって増加した睡眠スコアが改善することが確認されました。さらに、C-23ガセリ菌は自律神経のバランスを整える働きがあることも分かっています。
健康な20~70歳の成人男女118名を対象に行った試験では、二つのグループに分けて一方のグループにはC-23ガセリ菌を含む食品を3週間摂ってもらいました。
その結果、C-23ガセリ菌を摂ったグループでは摂っていないグループと比べて、交感神経が優位な状態から副交感神経が優位な状態に改善されることが確認されました
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