痛風を予防できる乳酸菌
国内で100万人が患う痛風
増え続ける患者数
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尿酸が体内に蓄積されることで結晶ができて足などの関節に激痛が走る痛風は、男性の多くが発症する生活習慣病です。
1986年には25万人だった患者数は2013年には100万人を超え、その患者数は年々増加傾向にあります。
さらに痛風の予備軍と言われる高尿酸血症の患者数は1000万人を超えています。痛風は患者数の90%が男性と言われ、その中でも30~50代の働き盛りの男性が多くを占めています。
痛風の原因と症状
このような深刻な国民病である痛風の原因は、尿酸値の上昇です。血液中の尿酸値が上がると、まず高尿酸血症が引き起こされます。これが痛風の前兆です。
高尿酸血症は血清尿酸値が7.0mg/dl以上の状態です。このような高い尿酸値の状態が続くと、急に足の親指の付け根などの関節が真っ赤に腫れあがり痛みが生じます。
痛風の痛みは経験した人にしか分からない耐え難い痛みと言われていますが、発作的に起こるのが特徴で、これを「痛風発作」と呼びます。
多くは1週間~10日ほどで治まり、炎症を抑える薬を服用することで比較的早く治すことができます。しかし、痛風は再発することも多く、1年以内に同じような発作が起こります。
そして発作を繰り返すうちに足首や膝の関節にまで痛みが広がり、発作が起きる間隔も短くなります。さらに痛風が悪化すると、腎臓に尿酸が溜まる腎機能障害や尿路結石が引き起こされることがあります。
このように完治が難しい病気である痛風に多くの男性が悩まされています。
プリン体を摂りすぎると尿酸値が上昇する
尿酸値が上がる主な要因はプリン体の摂りすぎです。とはいえプリン体そのものは私たちの体内でも作られる成分であり、細胞の代謝や増殖などに使われています。
使わなかった余ったプリン体は尿酸として体外に排出されます。ところが毎日の食事でプリン体を摂りすぎると、血清尿酸値が上昇して高尿酸血症を経て痛風を発症します。
私たちが日常的に食べているほとんどの食品にはプリン体が含まれています。この食品に含まれるプリン体は、腸管でプリン体が持つ核酸が分解されて体内に吸収されます。
そのためレバー、いわしやあじの干物、カツオといったプリン体を非常に多く含む食品を食べ過ぎると尿酸値が急上昇してしまいます。
とはいえこれらの食品を大量に食べる機会はそうありません。問題なのは食事に含まれるプリン体の総摂取量です。例えば納豆を1日に2パック以上食べるとプリン体の摂りすぎになるとされています。肥満気味の人は食事内容と食べる量を見直す必要があります。
アルコールの摂取にも注意が必要です。特にビールには500mlあたり0.5~42mgとプリン体が比較的多く含まれています。飲酒の習慣がある人は要注意です。
乳酸菌には痛風を予防する効果が期待されている
プリン体の吸収を穏やかにする乳酸菌
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ヨーグルトに含まれる乳酸菌には優れた整腸作用が期待できますが、近年の研究では一部の乳酸菌を摂ることで、プリン体の吸収量を軽減する効果があることが分かっています。
プリン体と乳酸菌が持つ整腸作用は関係ないように思えます。しかし、食品から摂ったプリン体は腸管から吸収されますから、乳酸菌によって腸内環境が整えられることは無関係とは言えないのです。
乳酸菌を摂ることでプリン体の吸収を穏やかにすることができれば、尿酸値の上昇の抑制に繋がり、高尿酸血症そして痛風の予防に繋がると考えられています。
尿酸値を下げる働きが認められたPA-3株
PA-3株の特徴
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正式名称はラクトバチルス・ガセリ・PA-3株です。明治乳業が乳酸菌のプリン体に対する効果に着目し、数千種類の菌株の中から特に優れた効果が期待できる菌株として選び出しました。「プリン体と戦う乳酸菌」と呼ばれています。
生きて腸まで届く乳酸菌です。プリン体の吸収を穏やかにするだけでなく、プリン体をエサとして活用することで増殖するのが特徴です。
PA-3株は食品由来のプリン体を消費することで、尿酸値の上昇が抑えられ、PA-3株自身が活性化して腸内環境を整える効果が期待されています。
メカニズム
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PA-3株は三つのメカニズムによってプリン体に直接作用します。
(1)ヌクレオシドをプリン塩基に分解する
食品に含まれるプリン体は腸管でまずヌクレオチドに分解されて、次にヌクレオシドに、最後にプリン塩基に分解されて体内に吸収されます。
プリン塩基は体内に吸収されにくいのが特徴です。PA-3株はこのプリン塩基への分解を促す働きがあり、時間が経つほどその生成量が増えることが確認されています。(2)プリン体が持つ成分の全てを取り込む
PA-3株はプリン体が持つ成分であるヌクレオチド、ヌクレオシド、プリン塩基すべてを菌体内に取り込むことが確認されています。(3)取り込んだプリン体の成分を利用する
PA-3株は取り込んだプリン体の成分を自らの増殖に利用します。菌にプリン体を添加することで、プリン体がないときと比べて活性化し増殖が促されることが分かっています。
ヒト試験でも効果が認められている
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東京女子医科大学の山中寿教授らが行った試験では、高尿酸血症または投薬治療中の痛風患者17名を対象に、二つのグループに分けて一方のグループにはPA-3株を含むヨーグルトを1日200g8週間摂ってもらいました。
なお公平を期して痛風患者には薬の服用を一時的に中断してもらいました。8週間摂ってもらった後には血清尿酸値の変化量を測定しました。
その結果、PA-3株を含むヨーグルトを摂った方は摂っていない方と比べて血清尿酸値の上昇が抑えられることが確認されました。この研究を行った山中氏は「プリン体を消化管内で除去できないかという発想」「プリン体の吸収を軽減するというのも乳酸菌の保健効果の中にひょっとしたら入れられるかもしれない」と言います。
PA-3株を摂取することで痛風を予防できる可能性が示されました。
ヨーグルトで痛風予防
PA-3株が発見される以前から、ヨーグルトなどの乳製品を摂ることで血清尿酸値が低下すること、痛風の発症リスクが下がることが報告されています。
これはヨーグルトなどの乳製品を摂るだけでも痛風を予防できる可能性があることを意味しています。
さらにヨーグルトにPA-3株を組み合わせることで、食品由来のプリン体の吸収を穏やかにする乳酸菌と乳製品の効果が合わさり、より優れた痛風予防効果が期待できます。
これまでヨーグルトを摂る習慣がなく、尿酸値が気になっている男性は、ヨーグルトを毎日の食生活に取り入れて痛風予防に繋げましょう。
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