乳酸菌ロンガム種とは
ロンガム種とは
特徴
ビフィズス菌の仲間で正式名称はビフィドバクテリウム・ロンガム、主にヒトや動物の腸管に生息しています。形は棒状をしていてY字に分岐した菌も見つかっています。他のビフィズス菌と同じく酸素のある環境を嫌う偏性嫌気性菌です。
1963年にドイツの科学者G・ロイターによって発見されました。
ヒトの腸内に生息する多くのビフィズス菌は、年齢とともに構成比が変化し、成人に近づくと減少に転じます。しかし、ロンガム種は乳児期の早い段階で優勢となり、高齢になるまで腸内での優勢が維持される珍しいタイプのビフィズス菌です。
また、妊娠中の母親の腸内に生息していたロンガム種と同一の菌株が、生まれてきた子どもの腸内からも分離されています。ビフィズス菌の一部は、母親の腸内フローラを受け継いでいることが分かっていますが、ロンガム種は生後3ヶ月を過ぎた乳児の腸内に定着しており、乳児期に長期間生息していることを示しています。これは抵抗力の弱い乳児が病原菌から身を守るためだと考えられています。
効果
これまでの研究でロンガム種には、整腸作用、感染症を防ぐ作用、免疫力を高める作用、コレステロール値を下げる作用などが認められていて、乳児から大人までさまざまな病気の予防や健康維持に貢献する重要な菌だと考えられています。
ロンガム種は菌株によって特徴が異なり、これまでにBB536株、JBL01株、JBL05株、SBT2928株といった菌株が発見されています。
BB536株
BB536株の特徴
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1969年に健康なヒトの乳児から発見されたビフィズス菌です。乳児から大人の腸内に生息していることから、数あるビフィズス菌の中でも特に人との相性が良い菌と考えられています。1971年に世界で初めて食品に利用されたビフィズス菌であり、これまで世界30ヶ国以上の国々で利用されてきました。
その特徴は一般的なビフィズス菌が酸や酸素に弱い性質を持つため、胃酸や胆汁酸で多くが死滅してしまうのに対して、他のビフィズス菌と比べて酸や酸素に強く、生きて大腸まで届くことにあります。
BB536株を発見した森永乳業では、約半世紀に渡ってビフィズス菌の研究と製品への応用を続け、その安全性が裏付けられています。これまでの研究では多くの生理機能を持つことが明らかにされていて、整腸作用をはじめ、病原菌やウイルス感染を防ぐ作用や、アレルギー症状の予防、潰瘍性大腸炎の緩和といった機能性が認められています。
BB536株の効果
高い整腸作用
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BB536株は生きて大腸まで届くことで酢酸や乳酸といった有機酸を生成します。これらの物質は腸内環境を弱酸性に変えることで善玉菌の増殖を促し、悪玉菌を抑制する働きがあります。
また酢酸や乳酸には腸を刺激する作用があり、食べ物を動かしながら排出させていくぜん動運動に欠かせない物質です。消化活動を促し腸内に溜まった老廃物の排出を促すことで、お通じの改善に繋げてくれます。便秘気味の女性39名を対象に行った試験では、BB536株を20億個以上含んだヨーグルトを1日100g、2週間摂ってもらいました。
その結果、腸内に生息するビフィズス菌の割合が増え、排便回数が増加し、悪玉菌が作り出す有害物質のアンモニアの濃度が低下したことが認められました。
また便秘の方30名と下痢の方29名を対象に行った試験では、30gもしくは100gのBB536株入りヨーグルトを4週間摂ってもらいました。その結果、いずれも摂取開始1週間後から便性が改善し、便秘と下痢の症状が緩和することが認められました。
大腸がんを予防
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従来の悪玉菌よりもさらに毒性が強い毒素産生型フラジリス菌(ETBF菌)は、腸内で炎症を引き起こすことで大腸がんのリスクを高めることが分かっています。
BB536株にはこの毒素産生型フラジリス菌を除菌する作用があることが分かっています。この菌を保有している32名を対象に行った試験では、一方のグループにBB536株を含むヨーグルトを8週間摂ってもらいました。
その結果、摂取前には糞便1gあたり平均1000万程度検出された毒素産生型フラジリス菌が、BB536株入りヨーグルトを摂った後では100万程度まで菌数が減少することが確認されました。
病原性大腸菌O-157の感染を予防
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BB536株が作り出す酢酸には強い殺菌作用があり、悪玉菌の増殖を抑制し、腸の粘膜をコーティングして保護する作用があります。また、病原性大腸菌O157が作る毒素が体内に侵入するのを防いでくれます。
この効果はマウスを使った試験で認められています。通常は無菌マウスにO-157を投与すると32日目までに全てのマウスが死亡しますが、投与前からBB536株を定着させていたマウスは、O-157の感染が抑制され試験期間中に1匹も死亡しませんでした。
インフルエンザの感染を予防
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BB536株には免疫力を高める作用がありますが、インフルエンザウイルスからの感染を防いでくれることが分かっています。
65歳以上の高齢者27名を対象に、BB536株を1000億個含む菌末を19週間投与しました。その結果、インフルエンザ発症や38℃以上の発熱回数がBB536株を投与していないグループよりも少ないことが確認されました。
またウイルスと戦う免疫細胞であるNK(ナチュラルキラー)細胞や、白血球の一種であり病原体を殺菌する作用を持つ好中球を活性化する効果も確認されました。
花粉症の症状を緩和
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花粉症などのアレルギー症状は、免疫バランスの乱れによってIgE抗体が過剰に分泌されることで発生します。
BB536株は腸内の免疫細胞に働きかけることで、免疫バランスを改善を促し、目や鼻のかゆみ、くしゃみ、鼻水といった花粉症の症状を緩和する効果があることが分かっています。
花粉症患者44名を対象に、2つのグループに分けて一方にはスギ花粉の飛散が始まる約1ヶ月前から、BB536株を1000億個含む粉末を13週間摂ってもらい、症状のスコアと血中の炎症具合を計るマーカーを調べました。
その結果、BB536株を摂ったグループではくしゃみ、かゆみ、鼻水といった自覚症状のスコアが大きく改善され、血中マーカーも低下が認められ炎症が抑えられていることが分かりました。
潰瘍性大腸炎の症状を緩和
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潰瘍性大腸炎とは大腸の粘膜が炎症を起こし、潰瘍やただれが発生して穴が開くことで下痢や腹痛を繰り返す病気です。厚生労働省指定の難病であり完治が難しく、大腸がんを併発することもある深刻な病気です、免疫異常などの原因が考えられていますがそのメカニズムはいまだ解明されていません。
BB536株には潰瘍性大腸炎の症状を緩和することが分かっています。軽症から中等症の潰瘍性大腸炎患者14名に、治療薬とともにBB536株を1日に2000~3000億24週間摂ってもらいました。その結果、14名中12名で炎症のスコアが低下し、うち10名では症状が軽減したことが認められました。
潰瘍性大腸炎患者は腸内の善玉菌が少ないことが分かっていますが、BB536株には腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす効果があるため、潰瘍性大腸炎の進行を抑制する働きがあるのではと考えられています。
コレステロールを下げる作用
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BB536株には血中のコレステロール値を下げる作用が認められています。成人男女43名を対象に行った試験では、2つのグループに分けて一方にはBB536株を10億個以上含むヨーグルトを1日2個摂ってもらいました。
その結果、BB536株を含むヨーグルトを摂ったグループでは摂取前よりも総コレステロール値が大きく低下することが確認されました。
JBL01株
JBL01株の特徴
ヒト由来のビフィズス菌です。酸に弱いというビフィズス菌の弱点を克服するために、耐酸性カプセル化することで胃酸や胆汁によって菌が死滅することなく、生きて大腸まで届けることを可能にしました。
JBL01株の効果
便秘の緩和
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健康な成人94名を対象に行った試験では、2つのグループに分けて一方にはJBL01株を含むカプセル0.2gを1日1回2週間摂ってもらいました。
その結果、便秘の傾向がある被験者では排便回数と排便量に増加傾向が確認され、排便回数が週5回を超える被験者でも排便量の増加傾向が確認されました。
JBL05株
JBL05株の特徴
森下仁丹がヒトの腸管から独自に発見したビフィズス菌で、EPSと呼ばれる菌体外多糖を産生するのが特徴です。菌体外多糖は一種のネバネバ成分であり、菌の内側で糖を作り出すのではなく外側に糖を作り出します。
これまでの研究ではこの菌体外多糖には、腸内の免疫システムで総司令官の役割を果たすパイエル板の免疫調整作用に働きかけることで、免疫力を高める作用があることが分かっています。
また、JBL05株を摂取することで、免疫細胞から分泌されるサイトカインやIgA抗体量が増えることも分かっています。サイトカインには炎症を防ぎ免疫力を高める働きがあり、IgA抗体はアレルギー物質が腸内に入ったときに腸管から吸収されるのを防ぐ働きがあります。
JBL05株の効果
アトピー性皮膚炎の症状を改善
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JBL05株にはアレルギーを抑制する効果があり、アトピー性皮膚炎の症状を改善する効果が期待されています。予めアレルギーを誘発させて皮膚炎を発症させたマウスを使った試験では、JBL05株と産生するEPSを与えることで、皮膚炎の症状が抑えられることが確認されました。
さらにアレルギー症状の原因となるIgE抗体の量も減少し、アレルギーを抑制する作用を持つIgA抗体の量が増えることも確認されました。
肌の水分保持効果
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JBL05株が作り出すEPSにはヒアルロン酸に匹敵する肌の水分保持効果があることが分かっています。このことから肌を保湿する効果が期待されています。
SBT2928株
SBT2928株の特徴
ビフィズス菌SP株の名前で知られるヒト由来のビフィズス菌です。日本人の腸内に住むビフィズス菌の中から特に優秀な菌株として選ばれました。
多くの乳酸菌やビフィズス菌は、腸内にもとから住んでいた常在菌に勝つことができず、腸内に定着できずに便として排出されてしまいます。
しかし、SBT2928株には大腸に定着することが認められている数少ない菌株です。これによって大腸の環境が整えられ、善玉菌が増えて悪玉菌が減少し、高い整腸作用が期待できます。
SBT2928株の効果
高い整腸作用
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SBT2928株は大腸に働きかけてクロストリジウムなどの悪玉菌を減少させることで腸内環境を整える効果があり、高い整腸作用が期待できます。
免疫力を高める作用
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SBT2928株にはウイルスに感染した細胞を攻撃し、ガン細胞を除去する働きのあるNK細胞を活性化する作用を持つことが分かっています。
32~76歳までの224名を対象に行った試験では、2つのグループに分けて一方にはブルガリア菌とサーモフィラス菌に加えて、ガセリSP株とビフィズス菌SP株の2種類の乳酸菌を含むヨーグルトを12週間摂ってもらいました。
その結果、これらの乳酸菌を摂ったグループでは、免疫活性の指標であるNK細胞活性が大きく上昇することが認められました。
ストレスの軽減効果
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SBT2928株はNK細胞を活性化させると同時に、ストレスホルモンの一種である副腎皮質刺激ホルモンとコルチゾールの血中に含まれる量を減少させることが認められました。
ストレスを感じるとこれらのホルモンの分泌量が増えますから、ホルモンの量が減ることでストレスを軽減する効果が期待できます。
病原性大腸菌O-157の感染予防
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SBT2928株にはO-157の感染リスクを低下させることが分かっています。無菌マウスにO-157を感染させて、SBT2928株を投与するとマウスの死亡率が大きく低下することが確認されました。
またBIFと呼ばれる付着阻止因子を作り出す働きがあり、大腸菌が腸壁などに付着するのを防ぐことが分かっていて、O-157のほか毒素原生大腸菌などが腸壁から体内に吸収されるのを防ぐ効果が期待されています。
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