乳酸菌と相性の悪いものは
腸内環境を整えてくれる乳酸菌は、ヨーグルトやチーズなどの乳製品、ぬか漬けやキムチなどの漬物、醤油や味噌などの調味料、酒粕や甘酒などさまざまな食品から摂ることができます。
乳酸菌は腸内で善玉菌の増殖を促して、悪玉菌を抑制する働きがあります。しかし、この効果も乳酸菌と一緒に摂る食べ物飲み物との相性によっては、上がることもあれば下がることもあります。
乳酸菌には相性の悪いものがある
乳酸菌と相性の良い食品には食物繊維やオリゴ糖があります。これらは腸内で善玉菌のエサとなることで乳酸菌の働きを助けてくれます。
ところが乳酸菌と相性の悪いものについてはあまり知られていません。乳酸菌自体にはほぼ副作用がないため、相性が悪いからといって体調不良を引き起こすことはありませんが、せっかく乳酸菌を摂っても十分な効果が得られなくなってしまいます。
乳酸菌を摂る場合は一緒に摂る食べ物や飲み物にも気を配りましょう。相性の悪いものを避けることで乳酸菌の効果を引き出すことができます。
乳酸菌とコーヒーは相性が悪い
抗酸化作用のあるポリフェノールを豊富に含むコーヒーは体に良い飲み物と言われています。近年の研究では心疾患のリスクを減らしたり、脳卒中になる確率を下げたり、肝臓がんを予防したり、血圧を下げるといった働きがあることが分かっていてコーヒーの健康効果が注目されています。
ところが乳酸菌とは相性が良くありません。毎日何杯もコーヒーを飲むような方は摂るタイミングに気をつける必要があります。
カフェインとクロロゲン酸が胃酸の分泌を促す
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コーヒーが乳酸菌に悪影響を与える理由は、コーヒーに含まれている成分であるカフェインとクロロゲン酸にあります。
カフェインは眠気を覚まして頭をすっきりさせる成分として有名ですが、一方で刺激も強いため摂りすぎによる副作用も指摘されています。
クロロゲン酸とはボリフェノールの一種で、優れた抗酸化作用を持つため通常は健康に良いとされています。またコーヒーの苦味成分でもあり味の決め手にもなっています。
この二つの成分に共通しているのが、胃の粘膜を刺激することで胃酸の分泌を促す働きがある点です。
よくコーヒーを飲みすぎると「胃が荒れる」と言います。
その原因はカフェインとクロロゲン酸にあります。胃酸が活発に分泌されると胃の中のpHが下がって強酸性になります。
多くの乳酸菌は酸に弱い
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胃酸が多く分泌されている状態は消化が促進されるため、食欲不振のときにはメリットもありますが、乳酸菌にとっては悪影響が大きく避けなければいけません。
それは乳酸菌の多くが酸に弱い性質を持つからです。乳酸菌には動物の乳に生息する動物性乳酸菌と、穀物や野菜、それらから作られる発酵食品に生息する植物性乳酸菌があります。
動物性乳酸菌の大半は酸に弱く、普通の状態の胃酸であってもその多くが死滅してしまい生きて腸まで届く数は限られています。一部の動物性乳酸菌と植物性乳酸菌は消化液への耐性を持つため、胃酸や胆汁酸に負けることなく生きて腸まで届きます。
とはいえ、それでも全ての菌が生きて腸まで到達するわけではなく、一部の菌は胃を通過する際に死滅してしまいます。胃の中のpHが低ければ低いほど、つまり酸が強ければ強いほど乳酸菌が死んでしまうリスクも高くなります。
飲むタイミングに注意
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もちろんコーヒーを飲んではいけないわけではありません。コーヒーを飲むことで大腸の運動を促すことができますし、腸内で善玉菌のエサとなるコーヒーオリゴ糖が含まれていますから、コーヒーそのものは腸に良い飲み物です。コーヒーオリゴ糖を摂ることで、腸内のビフィズス菌の占有率が摂取前の9%から摂取後は31%まで上昇したという報告もあります。
問題はコーヒーを飲むタイミングです。
空腹の状態でコーヒーを飲むと特に胃酸の分泌が活発になり、その状態がしばらく続きます。そこでコーヒーを飲むときは空腹状態を避け、間食や食事と一緒に摂ったり食後に飲むようにしましょう。
また、食べ物が胃を通過するまでにかかる時間は食品によって異なりますが、野菜で1~2時間、炭水化物で4~8時間が目安です。消化に良いヨーグルトは比較的胃に滞留している時間が短く、1時間半~2時間程度で消化されると言われています。
乳酸菌が胃を通過していない状態でコーヒーを摂らないように、2時間程度の間隔を開けて飲むようにしましょう。
胃を刺激しないようにブラックコーヒーは避けて、ミルクを多めに加えたカフェラテやカフェオレなどに変えるのも効果的です。牛乳には胃の粘膜を保護する働きがありますから、胃酸の分泌をある程度抑えることができます。
乳酸菌と揚げ物は相性が悪い
脂っこい食べ物は消化に時間がかかるため、胃酸がたくさん分泌されてしまいます。野菜が1~2時間程度で胃を通過するのに対して、揚げ物や肉料理など脂質とたんぱく質を多く含む食品は4~6時間、あるいはそれ以上の時間を要します。
胃は油脂成分の消化に特に時間を使っているのです。揚げ物などの脂っこい食べ物が大好きな方は注意しなければいけません。
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例えば夕食に揚げ物、食後のデザートにヨーグルトを食べたとします。胃が揚げ物を消化するために胃酸の分泌を増やしている状態で、ヨーグルトが後から胃に到達してしまうと乳酸菌が胃酸によって死滅してしまいます。
揚げ物のほかにも焼肉やステーキなどの肉料理、ピザ、ラーメン、カレーなども脂肪分の多い食べ物ですから、消化に時間がかかり胃酸を多く分泌します。このような食べ物とヨーグルトなどの乳酸菌食品の食べ合わせに注意し、揚げ物などの脂っこい料理とは時間を開けて摂るようにしましょう。
お酒の飲みすぎは乳酸菌に良くない
お酒は食欲を促す働きがあるため、食前酒として飲む習慣があります。しかし、アルコールには胃を刺激して胃酸をたくさん分泌させる働きがあるため、乳酸菌とは相性が良くありません。
もちろん適量を守っていればそれほど大きな影響はありませんが、それでも飲酒の習慣がある方は、乳酸菌を摂る前後の飲酒は避けるように工夫しましょう。
また、アルコールを摂りすぎると分解するために腸に負担をかけてしまいます。せっかく乳酸菌を摂って腸内環境を整えても、過度な飲酒によって腸内環境を悪化させてしまっては意味がありません。飲みすぎにはくれぐれも気をつけましょう。
スープやシチューなどの熱い食べ物は乳酸菌が死んでしまう
スープやシチューなどの料理に、サワークリーム感覚でヨーグルトを加えて食べている方は注意が必要です。最近はホットヨーグルトがちょっとした流行になっていますが、軽く温める程度でしたら問題ありません。乳酸菌が最も活発になる温度は35~40度で、人肌程度の温度であればより高い効果が期待できます。
しかし、50℃を超えるような高温で加熱すると乳酸菌は少しずつ死滅していきます。60℃では30分、100℃ではわずか数秒で死滅してしまいます。
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寒い季節には熱々のスープやシチューで体を温めたくなりますが、このような熱い食べ物は70℃以上あるため、ヨーグルトなら混ぜ込んだ段階で死滅してしまうと言われています。
スープとヨーグルトのさわやかな酸味は相性が良いのですが、せっかくの生きた乳酸菌を食べる前に死滅させてしまうのはもったいないです。
近年の研究では死滅した乳酸菌にも一定の整腸作用があることが分かっていますが、生きた乳酸菌にはさらに多くの効果が期待されています。乳酸菌を摂る場合は熱い食べ物に加えるのは避けましょう。
冷たい果物は乳酸菌と相性が悪い場合も
果物には善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維とオリゴ糖が豊富に含まれているため、乳酸菌と相性が良い食品です。とはいえ冷蔵庫で冷やしすぎたフルーツはあまりおすすめできません。
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冷たい果物そのものが乳酸菌の働きを低下させるわけではありませんが、冷たい食べ物を摂ることで腸を冷やしてしまいます。冷えは万病の源と言われますが、冷えによって腸の働きを停滞させてしまい消化吸収がスムーズに行われなくなります。
その結果として、下痢や腹痛などが引き起こされることがあります。暑い夏場に冷たいものを摂りすぎてお腹を壊した経験は誰でもあるでしょう。冷たい食べ物の摂りすぎは腸に負担をかけてしまいます。
果物はヨーグルトと相性抜群です。果物のさわやかな酸味と甘さはヨーグルトの味を引き立ててくれますし、飽きずに食べることができます。冷たい果物も少量でしたら問題はありませんが、一度にたくさん食べると腸を冷やしてしまうため避けたほうが無難です。
腹筋が少ない女性は腸が冷えやすいと言われています。冷え性の方は特に冷たい果物などの摂りすぎには注意しましよう。
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