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米のとぎ汁乳酸菌の作り方と使い方

米のとぎ汁乳酸菌とは

時間とお金を節約できる米のとぎ汁乳酸菌

腸内環境を整えてくれる乳酸菌はヨーグルトなどの身近な食品から摂れる健康成分です。とはいえヨーグルトは賞味期限が短く、乳酸菌を毎日摂るためにはその都度買いに行く必要があります。
他にもチーズや漬物などの発酵食品やサプリメントからも摂れますが、さまざまな乳酸菌食品やサプリメントを購入していたら、お金がかかってお財布に優しくありません。
そんな買うための時間やお金を節約できるのが、どこの家庭でもご飯を炊くときに出る米のとぎ汁から作る乳酸菌です。

白米の糠には植物性乳酸菌が付着している

なぜ米のとぎ汁に乳酸菌? と不思議に思うかもしれませんが、白米には精米した際に取り除けなかった糠が付着しています。
この糠には植物性乳酸菌がたくさん生息しています。乳酸菌には動物由来の動物性乳酸菌と植物由来の植物性乳酸菌があります。
動物性乳酸菌が酸や塩分に弱いのに対して、植物性乳酸菌は酸や塩分があり、激しい温度変化に晒され、栄養に乏しい環境で生きていたため強い生命力を備えています。

米のとぎ汁乳酸菌を培養して活用しよう

私たちが普段なにげなく捨てている米のとぎ汁はいろいろな使い方ができます。せっかく乳酸菌が含まれているのですから、ただ捨ててしまうのはもったいないです。

とはいえとぎ汁のままでは含まれる乳酸菌が少ないため、あまり効果は期待できません。そこで砂糖や塩などの乳酸菌が好むエサを与えて、適度な温度下で発酵させることで乳酸菌を培養させる必要があります。
植物性乳酸菌はとてもタフなので日常のさまざまな場面で活躍します。毎日のスキンケアに、掃除に、入浴にと用途も幅広く、暮らしをちょっと便利にしてくれる米のとぎ汁乳酸菌、興味のある方はぜひ試してみてください。

米のとぎ汁乳酸菌の材料について

米のとぎ汁乳酸菌を作るのに特別な材料も道具も必要ありません。用意するものは米、砂糖、塩、水、それと容器だけです。

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・米
とぎ汁を取るための米です。できれば無農薬や有機栽培の米を使いましょう。米のとぎ汁には乳酸菌だけでなく米に付着している残留農薬も染み出てしまいます。
口にしたり肌につけたりするものですから健康への影響が心配ですし、乳酸菌を培養するうえでもあまり農薬が含まれていないほうが発酵が進みます。
また精米してから時間が経った古い米は、乳酸菌が少なく発酵しにくいので出来るだけ新しい米を選びましょう。

・水
水道水に含まれる塩素は乳酸菌の活動を妨げてしまいます。塩素が含まれていないミネラルウォーターや塩素を取り除いた浄水器の水を使いましょう。

・砂糖
砂糖は乳酸菌のエサとなることで増殖を促してくれます。糖分がないと乳酸菌は乳酸を作り出すことができないため必ず入れてください。
白砂糖でも発酵しますが、精製されていない天然由来の黒砂糖やてんさい糖がおすすめです。黒砂糖にはミネラルも豊富に含まれています。

・塩
塩に含まれるミネラルも乳酸菌が増殖するために必要な成分です。余計なものが含まれない精製されていない天然塩を使いましょう。
天然の粗塩にはマグネシウムやカリウムが豊富に含まれています。産地にこだわるなら国内産がおすすめです。

・ペットボトル
米のとぎ汁に塩と砂糖を加えた液体を入れるための容器です。他の容器でも構いませんが、発酵が進むとガスで容器が膨張するため、破損を防ぐために柔らかくて丈夫なペットボトルが適しています。

米のとぎ汁乳酸菌の作り方

米のとぎ汁をペットボトルに移して、塩と砂糖を加えてよく混ぜて完全に溶かし、発酵するまで室温に置くだけです。

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【材料】米のとぎ汁 500ml 塩 小さじ1 砂糖 小さじ2~4

1)米をとぎます。最初にといだ一番濃いとぎ汁を取り分け、綺麗に洗ったペットボトルに移します。
2)とぎ汁の入ったペットボトルに塩を加えて完全に溶けるまでよく混ぜます。
3)常温で乳酸発酵させます。必ず1日1回は蓋を開けて溜まったガスを抜き、よく混ぜてください。
4)少し発酵が進んだ2~3日後に砂糖を加えて、よく混ぜます。後から加えることでpHが下がり乳酸菌が増殖しやすくなります。
5)数日から一週間程発酵させます。蓋を開けると炭酸飲料のようなプシュという音がして、甘酸っぱい香りがしたら出来上がり。
6)出来上がった乳酸菌液は冷蔵庫で保存、1ヶ月程度は持ちます。

注意点

温度管理が重要

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最も注意しないといけないのは温度管理です。乳酸菌は適度な温度と時間という条件が揃ったときに発酵が進みます。
35~40℃が最も乳酸菌が活発になる温度です。常に人肌程度に保てるように、夏場は日光が当たる場所に置き、夜はタオルやビニールで包んで保温します。
気温が低い冬場はペットボトルをタオルやビニールで包むだけでは人肌を保つことが難しく、なかなか発酵が進みません。暖房の近くに置く、湯たんぽと一緒に布団に入れる、コタツの中に入れるなどして人肌の温度を保ってください。ただし温め過ぎて40℃を大きく超えてしまうと熱によって乳酸菌が死滅してしまいます。

エサが不足しないように

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砂糖を入れ忘れたり、入れる量が足りなかったりすると、乳酸菌に必要なエサが不足して発酵しないばかりでなく、活動できずに乳酸菌が死んでしまいます。
死んだ乳酸菌は時間が経つと腐って悪臭を放ちます。十分に発酵しなかったとぎ汁はpHが下がらず腐りやすいので捨ててください。

雑菌の混入に注意

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乳酸菌の増殖に適した温度は雑菌にとっても大好きな温度です。乳酸菌とともに雑菌まで繁殖してしまわないように、衛生面には細心の注意が必要です。
雑菌が混入しないように、作るときに使う道具や容器は熱湯で消毒してください。カビなどが発生することもありますが、その場合はすぐに捨てましょう。
発酵に成功した場合は、甘酸っぱい臭いがするはずです。臭いを嗅いでみて異臭がしたり、舐めてみて苦い味を感じた場合は雑菌が繁殖している可能性がありますから、速やかに捨ててください。

米のとぎ汁乳酸菌の活用術

乳酸菌飲料として飲む

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乳酸菌飲料の代わりとして飲むことで腸内環境を整えることができます。植物性乳酸菌は胃酸や胆汁で死滅することなく生きて腸まで届きます。
生きた乳酸菌は食べ物に含まれる糖分を分解して乳酸を作り出し、腸内を善玉菌の活動に適した弱酸性に変える働きがあります。これによって腸内にもともと住んでいた善玉菌の増殖が促されて、悪玉菌が抑制され、便秘や下痢といった症状が解消されます。

さらに腸内には体全体の免疫細胞の約7割が集中していますから、腸内環境を整えることで免疫力を高める効果も期待できます。
作るときに砂糖を加えますが、乳酸菌のエサとして使われるため完成したものには甘さがありません。そのまま飲んでも構いませんが、砂糖やはちみつを加えると飲みやすいです。

化粧水として毎日のスキンケアに

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米のとぎ汁乳酸菌は化粧水として使うこともできます。乳酸菌を肌につけることで、肌のpHが弱酸性に保たれて肌トラブルを引き起こす黄色ブドウ球菌や、ニキビの原因となるアクネ菌の繁殖を防いでくれます。
ニキビや吹き出物に悩んでいた方はぜひ化粧水代わりに使ってみましょう。乳酸菌には肌の水分量を保つ優れた保湿効果と、メラニンの生成を抑制する美白効果があり、スキンケアにも適しています。科学成分を一切含まない全て天然成分なので、敏感肌や乾燥肌の方にもおすすめです。

家庭菜園や観葉植物の肥料に

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乳酸菌は植物を活性化させます。そのままでは刺激が強いため水で薄めたものを使い、月に1~2回を目安に肥料代わりに葉や茎にスプレーしましょう。植物の成長が促されるだけでなく、防虫効果も期待できます。

消臭剤として

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乳酸菌は酸性のため悪臭の元となる雑菌の繁殖が抑えられ、臭いを元から絶ちます。さらにアンモニアやアルカリ性臭気を中和する作用があるため、高い消臭効果が期待できます。
玄関の下駄箱、トイレ、排水口、キッチンの生ゴミなど臭いの気になる箇所にスプレーしましょう。クッションやソファーなどの消臭にも効果を発揮します。天然成分なので子どもやペットが居る家庭でも安心です。

洗剤代わりに

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乳酸菌には殺菌効果があるため洗剤代わりに使うことができます。市販の洗剤を使ったときに手荒れが気になるという方も、天然成分でできた米のとぎ汁乳酸菌なら安心です。
油汚れが気になる食器やフライパンにスプレーしてから洗うと、少量の洗剤と水だけでしつこい油汚れや黒ずみがすっきり落ちて綺麗になります。気になるコンロ周りの油汚れもスプレーして時間を置いてから拭き取るだけで、ゴシゴシこすらなくても綺麗になります。
シンクや排水溝にスプレーしてちょっと時間を置くと、水で流すだけで嫌なヌメリが落ちてツルツルピカピカに。床掃除に使えばワックスで磨いたようにピカピカになります。

入浴剤として

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米のとぎ汁乳酸菌は入浴剤としても使えます。殺菌効果でお湯が清潔に保たれますし、肌がスベスベになります。お湯の温度は乳酸菌が最も活動しやすい温度でもあります。
乳酸菌の働きで浴槽に汚れがつきにくくなり入浴後の掃除がとても楽です。残り湯に乳酸菌のエサとなる砂糖や塩を加えることで、繰り返し入浴できます。
不衛生そうに感じられますが、乳酸菌が働いているため雑菌が繁殖せずお湯は綺麗なまま、中にも1年もお湯を変えずに入浴しているツワモノもいるのだとか。
公的機関が行った水質検査でも乳酸菌を加えたお風呂からは、大腸菌やレジオネラ菌といった有害菌が検出されなかったというのですから、乳酸菌恐るべしです。さらに消臭効果がありますから、体臭が気になる方にもおすすめです。

米のとぎ汁乳酸菌の問題点

雑菌が混入しやすく衛生面でリスクがある

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良いことずくめのように思える米のとぎ汁乳酸菌ですが問題点も指摘されています。
先述したように手作りするが故に雑菌が混入しやすく、洗剤や消臭剤代わりに使うのならともかくとして、飲んだり肌につけたりするのは衛生面でリスクがあるという声もあります。

米そのものには乳酸菌だけでなく雑菌や腐敗菌が付着している可能性があります。米のとぎ汁に塩と砂糖を加えて適度な温度に保ったときに、どの菌が最初に優位に立つかが乳酸菌作りの成否を決めるため、乳酸菌が先に優位に立てば、糖を分解して作られる乳酸によってpHが下がり雑菌の繁殖を抑制してくれます。
しかし、とぎ汁に含まれる乳酸菌の量が少なく、雑菌や腐敗菌のほうが多いと乳酸菌は増殖することができずに、出来上がった液体は雑菌だらけということになりかねません。温度管理に失敗してしまった場合も乳酸菌が死滅して、雑菌が繁殖してしまいます。

【成否を判断するポイント】
出来上がった液体の臭いを嗅いでみて、腐ったような臭いがする場合は捨ててしまえば良いのですが、腐敗臭を出さない雑菌もあるため、捨てるかどうかの判断に迷うこともあります。
見た目や臭いに異常がなくても雑菌が繁殖しているなら捨てなければいけません。順調に発酵が進むと蓋を開けたときに甘酸っぱい臭いがします。このような臭いがしない場合は、乳酸菌作りに失敗したということになるので迷わず捨ててしまいましょう。

精米に生息している乳酸菌の数

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そもそも精米された米にどれくらい乳酸菌が生息しているのかという問題もあります。確かに米糠には乳酸菌がたくさん生息していますが、精米して白米にしたときに玄米についていた糠層の多くが除去されてしまうため、残った糠はほんの少しだけということになります。最近は精米技術か進歩していますから、糠をほとんど残すことなく精米しています。
白米にどれだけの乳酸菌が生息しているのかもはっきりとは分かりません。せっかく米のとぎ汁を取っても培養できるだけの乳酸菌が含まれていない可能性もあるのです。

【玄米や分つき米を使ってみよう】
この問題点を解決するためには、ぬか層が取り除かれていない「玄米」を使う方法があります。ぬか層が取り除かれていない玄米であれば、乳酸菌もたくさん生息している可能性が高いため、白米を使うより培養しやすいと言えます。しかし、硬い玄米は好みが分かれますし、価格が高めなのも気になります。

そこでぬかの一部を残して精米した「分つき米」を使う方法もあります。つき加減(精米加減)によって、ぬか層と胚芽をほんの少し取り除いただけの限りなく玄米に近い1分つき、
ぬか層を3割取り除いた3分つき、半分取り除いた5分つき、7割取り除いた7分つきがあります。米のとぎ汁に含まれる乳酸菌の量が気になる方は、購入するお米の精米方法にもこだわってみてはいかがでしょうか。

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