納豆菌は乳酸菌を助ける
納豆菌も乳酸菌も善玉菌
大豆を納豆菌で発酵させて作る納豆は、言わずと知れた日本人にとって馴染みの深い伝統的な発酵食品です。
独特の粘り気と風味があることから人によって好き嫌いはありますが、日本の朝食には欠かすことができません。納豆の歴史は長く平安時代には既に存在していたことが確認されています。
一方、乳酸菌が日本で知られるようになったのは明治に入ってから、一般家庭にヨーグルトが普及したのは戦後以降です。
納豆菌が作り出す納豆と、乳酸菌が作り出すヨーグルトやチーズは、味も風味も全く異なる食品ですが、納豆菌と乳酸菌には大きな共通点が存在します。
それはどちらも人の腸内で健康に良い影響を与える善玉菌であるということです。善玉菌はこれまでにおよそ500種類発見されています。
善玉菌と聞くと乳酸菌とビフィズス菌を思い浮かべますが、乳酸菌とビフィズス菌だけが善玉菌ではありません。納豆菌、酵母菌、麹菌も善玉菌なのです。
納豆菌の特徴
増殖の過程で様々な栄養素を生成
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納豆菌は稲の葉に多く生息している枯草菌の一つで、芽胞という殻に包まれています。形は細長い棒状をしていて、酸素のある環境を好み、25~35℃が生育に適しています。
納豆菌は増殖する過程で、ナットウキナーゼ、ビタミンK2、アミノ酸といったさまざまな栄養素や酵素を生成します。
原料の大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど栄養豊富ですが、納豆菌によって作られる納豆はさらに栄養価が高い食品です。
抗菌作用がある
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抗菌作用があり、病原性大腸菌などの増殖を抑える作用が認められています。糖やタンパク質を分解することで消化吸収を促し、悪玉菌によって作り出される食べ物の腐敗をなくす作用があるとされています。
生命力が強い
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熱にとても強く、100℃で30分間加熱しても胞子となることで身を守り死滅しません。逆に-100℃でも生きることができ、10~165℃の環境であれば活動することができます。
酸性にもアルカリ性にも強いのも特徴です。そのため強い酸性の胃酸を通過しても死滅することなく、生きて腸まで届きます。
繁殖力も強く、30分もすると倍に増えていき、僅か1つの納豆菌が16時間後には40億個になります。栄養の乏しい環境でも生存でき、100万年以上生きると言われています。
乳酸菌と相性抜群の納豆菌
生命力がとても強い納豆菌ですが、実は乳酸菌との相性も抜群です。乳酸菌と納豆菌を一緒に摂ることで相乗効果が期待できます。
これまでの研究では、納豆菌は乳酸桿菌の増殖を促すことが分かっています。
納豆菌と乳酸桿菌3株を一緒に培養した実験では、すべての乳酸桿菌が培養初期において増殖が促され、長く生き残ることが確認されました。
これは納豆菌が生成するカタラーゼ、ズブチリシンという酵素が関係しているためと考えられています。
納豆菌はアミラーゼという消化酵素を生成して、デンプンを糖に分解する働きをします。そのためデンプンを分解することができない乳酸菌の増殖を促すことが分かっているのです。
ある実験では乳酸菌だけをデンプンを主体とした液体で培養したところ、10倍程度までしか増殖しませんでしたが、納豆菌を加えて培養すると乳酸菌は約100倍まで増殖することが確認されました。
乳酸菌と納豆菌を一緒に摂ろう
納豆には乳酸菌はほとんど含まれていない
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乳酸菌はヨーグルトやチーズといった乳製品、漬物、味噌、醤油といった発酵食品に含まれています。
納豆も伝統的な発酵食品ですが残念ながら乳酸菌はほとんど含まれていません。空気中に飛散している乳酸菌が、納豆を製造する途中で入り込むことはありますが、大豆を煮て作るため多くの熱に弱い乳酸菌は死滅してしまいます。
また乳酸菌によって納豆作りに失敗することを恐れて、多くのメーカーではわざわざ乳酸菌を加えようとはしませんでした。
乳酸菌と納豆を組み合わせた商品が登場
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しかし、近年になり乳酸菌と納豆菌の相性の良さが注目されるようになったことから、大手ヨーグルトメーカーの協力もあって乳酸菌と納豆を組み合わせた商品の開発が進んでいます。
乳酸菌入りの納豆は、1g当たり乳酸菌も納豆菌も数10億から100億以上の菌を摂ることができます。多くても1g当たり10億個程度のヨーグルトと比べると、大量の菌を摂ることができるのがメリットです。
普通の納豆は微アルカリ性ですが、乳酸菌を加えることで中性から微酸性になるため、ややさっぱりとした味わいで匂いも少なく、納豆が苦手な人にもおすすめです。
納豆とキムチは理想的な組み合わせ
キムチに含まれる植物性乳酸菌は生命力が強い
乳酸菌と納豆菌は相性抜群であることが分かりました。食品メーカーでは新たな商品を開発していますが、私たちが普段から食べている食品を組み合わせるだけで手軽に乳酸菌と納豆菌を同時に摂ることができるのです。
そ
の食品の組み合わせとは納豆とキムチです。キムチが韓国で生まれた伝統的な発酵食品であることは有名ですが、実はキムチには植物性乳酸菌が豊富に含まれています。
キムチに含まれる植物性乳酸菌はとても生命力が強いため、胃酸や胆汁で死滅することなく生きて腸まで届きます。納豆菌も生きて腸まで届きますから、この二つの食品の組み合わせは理想的です。
オリゴ糖が豊富な玉ねぎをプラスするのもおすすめ
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さらに効果を期待するなら、納豆とキムチにたまねぎをプラスしてみましょう。オリゴ糖は腸内で善玉菌のエサとなり増殖を促す働きがあります。
たまねぎにはオリゴ糖が豊富に含まれていますから、生きた乳酸菌と納豆菌との相乗効果でさらに善玉菌を増やすことができるというわけです。
食べ方はとても簡単、キムチと玉ねぎを細かく刻んで納豆に混ぜて食べるだけ。これをそのまま食べても、ご飯に載せても良いです。
植物性乳酸菌はキムチの汁にも含まれていますから、汁も加えるとさらに効果が期待できます。キムチのピリっとした辛さと酸味が食欲を刺激するため、食欲が落ちる夏場は特におすすめです。
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