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高血圧対策に乳酸菌

高血圧は日本を代表する生活習慣病

日本人で約1000万人が抱える高血圧

中高年世代の多くが発症する高血圧は、日本を代表する生活習慣病です。あなたやあなたの周りにも「血圧が高めで困っている」という方が居るのではないでしょうか。
高血圧とは血圧の数値の上が140mmHg以上、下が90mmHg以上、このいずれかを上回っている状態のことです。

厚生労働省が3年ごとに実施している患者調査によると、2014年の患者数は1010万人を数えています。これは前回の調査よりも約104万人多い数字です。
また30歳以上の男性の60%、女性は45%が高血圧を抱えているという試算もあります。

日本で高血圧の方が多い理由としては、塩分を多く含む食生活にあるとされています。ほかにも喫煙、運動不足、肥満、ストレスが高血圧の原因として挙げられています。

高血圧はサイレントキラー

とはいえ血圧が上がったからといってただちに命に関わる事態に繋がることわけではありません。多くの方は目立った症状がなく、高血圧の状態が続くことで動悸や息切れ、めまい、手足の痺れ、腰痛の悪化などが起こる程度です。
しかし、高血圧を放置すると動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病など命に関わる病気に繋がることから、サイレント・キラーとも呼ばれています。
高血圧の方は健康な方と比べて死亡のリスクが1.5倍高いという調査結果もあります。高血圧を甘く見てはいけません。

乳酸菌が分泌するラクトトリペプチドが高血圧を改善する

腸壁と血管は繋がっている

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お腹の調子を整えてくれる乳酸菌は善玉菌の代表です。乳酸菌には整腸作用以外にもさまざまな効能がありますが、近年の研究では高血圧にも有効であることが分かっています。
とはいえそう聞いても「本当なのか?」と半信半疑に感じられる方もいるでしょう。腸内環境を整える乳酸菌と、血管にかかる圧力の問題である高血圧は無関係に思えます。

しかし、私たちの腸は腸壁を通して全身の血管と繋がっています。血管は全身に栄養を届ける役割を担っています。その栄養は主に小腸で吸収され、血流に乗って全身に運ばれます。
このときに乳酸菌が生成した成分も栄養素と同じように血流に乗って全身に運ばれるため、血管の状態を改善できると考えられています。

乳酸菌が分泌するラクトトリペプチド

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乳酸菌は腸内で善玉菌として働くだけでなく、糖をエネルギーにして取り込み代謝を行うことで、さまざまな成分を作り出しています。
その一つである「ラクトトリペプチド(LTP)」に血圧を下げる効果があることが近年の研究で明らかになりました。ラクトトリペプチドとは三つのアミノ酸がくっついた成分です。

このラクトトリペプチドは、血圧を上げる働きを持つアンジオテンシン変換酵素(ACE)の活動を阻害する作用があることが分かっています。
つまりラクトトリペプチドを血管に送ることができれば、酵素の働きが弱くなり、上がった血圧を正常な数値まで下げることができるのです。実際にさまざまな研究で効果が認められていて、特定保健用食品にも認定されています。

【ラクトトリペプチドの効果を示す試験結果1】

血圧が高めの方30名を対象に行った試験では、まず二つのグループに分けて、一方にはラクトトリペプチドを含む乳飲料を1日120ml、12週間摂ってもらい、血圧の変化を調べました。
その結果、ラクトトリペプチドを含む乳飲料を摂った方は、摂っていない方と比べて最大血圧が約10mmHg、最小血圧は約5mmHg低いことが確認されました。

ラクトトリペプチドは血管をしなやかに保つ

乳酸菌が分泌するラクトトリペプチドの働きは血圧を下げるだけではありません。血管をしなやかに保つことで、動脈硬化と血管年齢を下げる働きがあることが分かっています。

血管年齢とは血管の弾力から何歳くらいに相当するかを測る指標です。血管年齢が若い方ほど血管が柔らかく弾力性があることを示しています。血管年齢が高い方は血管が硬く、コレステロールや中性脂肪などによって血管内が狭くなっています。
血管年齢が高いということは動脈効果が進んでいることを示しています。動脈硬化も血管年齢の上昇も老化に直結します。つまりラクトトリペプチドにはアンチエイジング効果が期待できるということです。

【ラクトトリペプチドの効果を示す試験結果2】

血圧が高めの方70名を対象に試験を行いました。まず二つのグループに分けて、一方にはラクトトリペプチドを含むサプリメントを8週間摂ってもらい、摂取前後の血管の柔軟性の変化を調べました。
その結果、ラクトトリペプチドを摂った方は摂っていない方と比べて、血管の柔軟性が改善することが確認されました。

高血圧への有効性が認められた乳酸菌の種類

CM4株

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正式名称はラクトバチルス・ヘルベティカス・CM4株、カルピス社が独自に開発した乳酸菌です。CM4株は乳酸菌が牛乳を発酵させる過程で分泌するラクトトリペプチドを多く作る力があるとされています。
これまでの研究では、血圧を下げる作用、血管をしなやかに保つ作用が認められています。高血圧の方や血管の老化が気になる方に適した乳酸菌です。

シロタ株

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正式名称はラクトバチルス・カゼイ・シロタ株、1930年に後のヤクルト創業者である代田稔博士によって発見されました。強化培養によって胃酸や胆汁酸に強く、生きて腸まで届くプロバイオティクスの乳酸菌です。
これまでの研究では、善玉菌を増やし悪玉菌を減らすことで腸内環境を整える優れた作用があることが分かっています。
さらにシロタ株を含む乳製品を継続的に摂取することで、高齢者の高血圧発症リスクが低下することが確認されています。

【シロタ株の調査結果】
群馬県吾妻郡中之条町に在住し、5年前まで高血圧症を発症していない65~93歳の高齢者352名(男性125名、女性227名)を対象に試験を行いました。
まず過去5年間のシロタ株を含む乳製品の摂取頻度について聞き取り調査を行いました。次に摂取頻度によって、週3回未満摂取していたグループ254名、週3回以上摂取していたグループ98名に分け、過去5年間の高血圧発症率を比べました。
その結果、シロタ株を含む乳製品を週3回以上摂取していた方の過去5年間の高血圧発症率は6.1%でした。一方、週3回未満摂取していた方の発症率は14.2%でした。
このことからシロタ株を含む乳製品を週3回以上摂ることで、高血圧の発症リスクの低下に繋がることが分かりました。

LC1乳酸菌

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正式名称はラクトバチルス・ジョンソニ・La1株、ネスレが保有する約4000種類の菌株の中から、生きて腸まで届いて長く活動する乳酸菌として選び出されました。

LC1乳酸菌は自律神経に作用することが分かっています。

自律神経には緊張や興奮を感じたときに優位になる交感神経と、心身が落ち着いたときに優位になる副交感神経があり、交互に切り替えながら体の機能を維持しています。
ところが自律神経のバランスが乱れると、交感神経と副交感神経の切り替えが上手くできず、さまざまな不調が引き起こされます。

その一つが高血圧です。興奮や怒りを感じたり、強いストレスに晒されると血圧が上がることがあるのは、自律神経の働きが血圧に影響しているためです。
LC1乳酸菌は交感神経優位な状態から副交感神経優位な状態に導くことで、血圧を下げる効果が期待されています。

【LC乳酸菌の試験結果】
ラットの腸内にLC1乳酸菌を投与して、自律神経活動の変化を調べました。その結果、LC1乳酸菌を投与することで、腎臓の交感神経活動が抑制されて、胃副交感神経活動が促進されることが確認されました。
腎臓交感神経は、血圧を上げる働きをするアンジオテンシンIを合成するレニンと呼ばれる酵素の放出を調整し、血圧の調整に関与している臓器です。

さらにLC1乳酸菌をラットの十二指腸に投与したところ、血圧が有意に低下することが確認されました。
この結果からLC1乳酸菌が腸内に届くことで、自律神経活動が抑制されて、血圧に影響を与えることが分かりました。

BC90株

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正式名称はラクトバチルス・カゼイ・BC90株、ヒト由来の乳酸菌であり、医療現場で使われているカゼイ菌の一種です。アルビン菌とも呼ばれています。
BC90株は優れた整腸作用と免疫力を高める作用のほかに、高血圧症を予防する効果があるという報告があります。

【BC90株の試験結果】
BC90株を投与したラットに高脂肪食を5日間与えて経過を観察しました。その結果、BC90株を投与していないラットと比べて、血中コレステロールと中性脂肪が低く抑えられました。
高血圧症の2大因子である血中コレステロールと中性脂肪が抑制されることで、高血圧を改善する効果が期待できます。

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